(社)日本都市計画学会関西支部 平成20年度 シンポジウム
「丹波篠山築城四○○年祭」プレイベント シンポジウム
「これから100年のまちづくり」を考える―歴史と文化を活かすまちづくり―
| 主催 : 篠山市・(社)日本都市計画学会関西支部 |
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| 日時 : 平成20年10月5日 13:30〜16:30 |
| 場所 : 篠山市民センター |
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| 開会あいさつ 篠山市長 酒井隆明 |
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| 第一部 基調講演 |
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| 【篠山市報告:これから100年のまちづくりにむけての取組状況】 |
| 講師:金野幸雄氏(篠山市副市長) |
・ 「篠山再生計画」として、財政悪化に対する対応策をまとめた「行財政改革編」を策定し、現在「まちづくり編」を策定中で、11月に案を示す予定である。
・ 自治会と老人会などのテーマ型コミュニティからなるまちづくり協議会をベースにして、まちづくり活動に一括補助を行なう様な体制を考えている。
・ 篠山市の強みと弱みを考えると、空き家の多さ、耕作放棄地の多さ、高齢化、文化財活用の弱さ、ブランド力の弱さなどの弱みが強みを打ち消してしまっている。これを取り除く努力が必要である。
・ 築城400年イベントを一過性のイベントにしないことが重要であり、「市民参加型」をキーワードに取り組んでいる。
・ 景観法や歴史まちづくり法などの新しい制度を背景に、篠山市が日本の農村再生のモデルとなるような社会実験などの取り組みを進めていく。
・ 先行的な取り組みの先行事例として、過疎集落の活性化をテーマに「丸山集落プロジェクト」に取り組んでいる。
| 【基調講演:歴史と文化を活かした都市創造に向けて】 |
| 講師:佐々木雅幸氏(大阪市立大学大学院教授) |
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・ 「創造都市」とは、市民が誇りとするような芸術のエネルギーがあり、公と市が柔軟に組み合わさっている都市だと考えている。駄洒落のようだが「騒々しい都市」すなわち発言する市民のエネルギーがあふれている都市が創造都市である。
・ 「創造」とは、単なる新しい発明を行なうだけでなく「過去との対話」によって成し遂げられる。その意味で伝統や文化は非常に重要な役割を果たす。
・ 都市の発展には、クリエーターなどが集まることによる「創造性」の高さとともに、そうした異なる価値観を受け入れる「寛容性」を持つことが重要である。
・ ロンドンでは、これまでの産業を支えてきた銀行・金融業はむしろ足を引っ張る存在であり、クリエイティブ産業が全体を引っ張って成長している。
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イタリアのボローニャは、職人経済、ネットワーク型経済による創造都市である。20世紀アメリカ型の「大量生産で機械の精度がモノの価値を決める」システ
ムではなく、「職人の感性がモノの価値を決める」システムである。また、社会協同組合が福祉や芸術文化の振興の担い手となっている点も特徴である。
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創造都市の考え方をいち早く取り入れた都市として金沢がある。日本のボローニャともいえる。独自に景観保全のまちづくりを進めてきたほか、ニッチ・トップ
となっている企業が多数ある。また、伝統だけでなく金沢21世紀美術館で先端的な現代美術を取り入れ、市民が集う場を作るなど伝統と新しいものの融合を進
めている。
・ 21世紀的なモノづくりは、文化を豊かにする投資が必要不可欠である。文化がだめになると経済もだめになる。
・創造都市の3つのポイントは、@創造的なコーディネーター・プロデューサーが活躍できる A市民の誰もが創造できる場をつくる B伝統的なものを保存し再整備を行い(イノベーション)即興的なアイデア(インプロビゼーション)がふんだんに起きる”創造の場”をつくる ということが重要である。
| 第二部 パネルディスカッション |
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| コーディネーター |
福島 徹氏 |
兵庫県立大学教授 |
| パネリスト |
才本 謙二氏 |
才本建築事務所代表取締役 |
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森崎 清登氏 |
近畿タクシー代表取締役 |
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村上 裕道氏 |
兵庫県教育委員長事務局文化財室長 |
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佐々木雅幸氏 |
大阪市立大学大学院教授 |
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金野 幸雄氏 |
篠山市副市長 (発言順) |
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| 【話題提供:歴史的空間を伝承するまちづくりの視点から(才本謙二氏)】 |
・ 篠山のよさは昔のままという点である。
・ 古民家の修復は単に昔に戻すというのではなく、それが一番輝いていた時期に戻すことが重要であり魅力である。
・ 伝統とは、生活を守り発展させる人間のエネルギーの表出である。
・ 古民家を残すエネルギーが問われている。コスト・維持管理が課題である。ローコストでなければ残らない。
・ 特別なことはあまりしない=あまり手を加えずきれいに片付けるということで魅力的になる。しかし現代的な生活に不自由しないことが必要である。
【話題提供:城下町の観光と生活を支える交通の視点から(森崎清登氏)】
・ まちづくりには「ええなあ」というプラス思考が大事である。
・ 篠山市を上から見るとちょうどPCの基盤のように見える。篠山城を中心とした知の集積である。物事を俯瞰して当たり前のことをどう伝えるかが重要である。
・ 神戸市長田区で震災から10年かけて復興するのに大変なエネルギーが必要であった。「これから100年のまちづくり」にはさらに大変なエネルギーが必要であることを肝に銘じる必要がある。
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「震災まち巡り」という企画ツアーで肉屋の店主が語り部としてツアーの子どもたちに震災体験を一生懸命語った所、子どもたちも懸命に聞いていた。大人が一
生懸命語る姿を見せることが重要であると同時に、語った人自身も子どもたちに「がんばるから」と宣言したことでがんばる勇気を得た。単に観光地を巡るだけ
でなく、こうした触れ合いが大きな財産となる。
【話題提供:歴史文化をまもり活かすための戦術の視点から(村上裕道氏)】
・ 篠山市の地図の変遷を追ってみると、江戸期から細分化して合併で元に戻ってきたという流れになっている。
・ 伝建地区で城・武家屋敷・商家の3点セットが揃っているのは篠山市だけではないか。
・ 文化財は多いが、認識されていない、関連付けされていない点が問題である。
・ 文化財は「素材産業」であり、資源をどう発掘しまとめるかが重要である。そのためには「ひとづくり」と「地域づくり」に取り組む必要がある。
・ ひとづくりでは、「ひょうごヘリテージ機構」の取り組みを進めているが、資金とモチベーションの持続が課題である。
・ 地域づくりでは、多様な資源を篠山市の各種計画に位置づけることで活用を図っていく。
・ 歴史的風致のまちづくり事業が進められているが、これは篠山市に当てはまる部分が非常に多い。逆に言えば篠山市でうまくいかなければ他のどこでもだめだともいえるのではないか。
【3つの話題提供を受けて(佐々木雅幸氏)】
・ 共通のキーワードとして、住民の生活の質を高めることがまちづくりのモチベーションにつながるという点があげられるのではないか。
・ 「クオリティ・オブ・ライフ」とよく言われるが、この場合の「ライフ」は単なる生活ではなく「命の輝き」である。観光も、単に地域を見るのではなく、そこに住んでいる住民の「生活の輝き」を見るものである。
・ 人口減少地域では、「ゲイのような人々(=異なった価値観の人々)」の触媒としての役割が重要である。定住者と漂泊者、あるいはその中間の人々が混ざり合うことで活性化される。
| 【ディスカッション】 |
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・ 交通事業者の立場で言えば、コミュニティバスは儲からないといわれるが、地域が観光に取り組むことで通勤客と観光客の2本立てで運用できるのであればバスは走ることができる。(森崎氏)
・ ボローニャでは伝統の部分が磐石であるため、クリエーターがうまく立ち回って入り込むという関係ができているが、伝統の部分が弱い日本ではクリエーターが入り込むと伝統の部分まで崩れてしまうのではないか。(村上氏)
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コミュニティの信頼関係をソーシャル・キャピタル(社会関係資本)と呼んでいるが、この面で世界的に注目されているのがボローニャである。一方、あまりに
この信頼関係が強いと社会が窮屈になり、若者が都会へ流出する。ソーシャル・キャピタルとクリエイティブ・キャピタルとの両立が望ましい。
ボローニャでは、人口38万人の町に5万人の大学関係者がいることで両立が図られている。篠山市でも大学に変わる機能(価値観の違う人が出入りできる・一時滞留できる機能)を埋め込むことで、両立を図ることが考えられる。(佐々木氏)
・ 「創造都市」の反対の概念として「非創造都市」を考えることができるが、これはまさに城下町ではないか。
なぜ篠山市が好かれるかと言えば、他の多くのまちが時代に合わせて新しくなっていく中で、篠山市は時代に乗らなかったことで一周遅れのトップにたったよう
なものである。その反面市民が自分でまちをつくるというような意欲は薄い。「若者・馬鹿者・よそ者がまちを活性化させる」という言葉があるが、篠山市でも
これらの人々の力が必要である。(会場より:小森星児氏)
・ ボローニャの社会協同組合のような仕組みを日本の特に農村社会でどう生み出していくかが課題ではないか。(金野氏)
・ 日本には世界でいちばん古いNPOともいえる四天王寺があると指摘する学者もいる。また、大坂が一番輝いていたのは蓮如の寺内町が繁栄した時代であり、支配者が入ってきて城下町が形成される前には生き生きとした時代があった。
20世紀的システムがうまく機能しなくなった現在では、生き生きとした市民のシステムが生まれるのではと期待している。(佐々木氏)
・ 篠山市ではあまり目立った動きをすると圧力があることも事実である。しかし、地域社会のルールを守らない人がもっとも嫌われる。こうした地域社会のルールを守ることが重要であり、ルールを守る人は比較的簡単に受け入れられる。(才本氏)
・ 長田のまちでは「震災のとき」ということでソーシャル・キャピタルができる。篠山市では「築城400年の積み重ね」を鍵にソーシャル・キャピタルを形成していくことが求められる。(森崎氏)
・ 平成20年度から文化財調査をはじめる。こうした文化財の活用は市民の気持ちが入らないと形にならない。皆さんの協力をお願いしたい。(村上氏)
・ 今回の議論は100年のまちづくりを考える委員会に活かしていきたい。
これからのまちづくりには外部の人たちの力が活かされていくことが必要である。(福島氏)
篠山市からのお知らせ
| 閉会あいさつ (社)日本都市計画学会関西支部企画事業委員会 難波委員長 |
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400年祭キャラクター
「まるいの」 |
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<都市計画学会企画事業委員のコメント>
シンポジウムへの事前申込者が113名、当日申込みが33名で最終参加者は127名と盛会であった。会場では篠山市から解禁直後の黒豆と黒豆茶の接待があり、シンポジウムに華を添えていただいた。
このホスピタリティは大切である。観光客を迎えるためにはもちろんだが、市民一人一人のちょっとした工夫、建物外観のきたないものを隠す、不要なものを片づけることでまちの景観は見違えるほどよくなると思う。その気持ちが、美しいまち篠山を創っていくのだと思う。(兵庫県 難波 健)
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「過去との適切な会話」をもとに、「文化的価値」と「経済的価値」を双方に「創造する都市」のトップランナーとなるべく「まちづくり」を進める篠山市。「文化」と「自然」と「歴史」ある「まち」に豊かさがあることを実証していく動きに期待感を感じるシンポジウムであった。(スペースビジョン研究所 宮前 保子)
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午前中のまち歩きから参加し、シンポジウム開催前のパワーポイントによる地域資源の紹介などで篠山の歴史やまちなみに触れることができた。
シンポジウムでは、「まちの価値」をどのように活かしていくのかが議論され、篠山の価値を知る人だけでなく、この機会に意識改革された人も増えたのではないだろうか、ちなみに私も魅力に感銘し、10月12日に2度目の篠山訪問を行ったのであった。
今後とも、魅力ある篠山のまちづくりが進められることを期待しております。(京都府都市計画協会 鈴木 正和)
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人口規模に関係なくヨーロッパに魅力的な都市が多いと感じるのは,美しい街並みや有名な観光資源の存在だけに起因しているものではなく,そこに住まう住民の活気や魅力によるところも大きい。佐々木先生の講演では,創造都市において,特に,その中心を担う創造的プロデューサーやコーディネーターの重要性を指摘されていたが,篠山市においても同様に,次世代を担う若者も含め,大きな志を共にする住民と篠山市との一体的なまちづくりが必要不可欠だろう.篠山市で具体的に何をしたらよいのかという議論にまで至らなかった点は残念であるが,これから100年の持続的なまちづくりを考えていく出発点としては意義のあるシンポジウムだったのではないだろうか。(京都大学 大庭 哲治)
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あいにくの雨にもかかわらず多くの観光客・シンポジウム参加者が見られ、現在の篠山市のポテンシャルの高さを感じた。歴史まちづくり法による整備のモデルになる都市ということだが、あまりにもすべての要素が揃いすぎてオンリーワンの存在になってしまわないだろうか。歴史的資源というモノだけに頼るのではなく、市民が主体となって取り組むソフトのまちづくりが併せて活発になることで、他の都市にもモデルとなるような「100年のまちづくり」が進むことを期待したい。((株)総合計画機構 水上 貴之)
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当初、「歴史的空間をいかしたまちづくりとみちづくり」に関するシンポジウムをスタートとして、都市計画道路網の都市計画変更案を導出する目論見で篠山市市街地整備課の方々と企画を進めてきました。ところが7月頃に、「シンポジウムを築城四〇〇年祭プレイベントのキックオフにしよう」という話が持ち上がり、大がかりな企画に不安を覚えつつ準備を進めてきました。皆様のおかげでとても良いものになったと思っております。篠山市民のみなさまが、築城四〇〇年祭を振り返られた時に、「意義深いキックオフイベントであった」と感じていただけたるよう、これからも篠山の裏方として、お役に立てればと考えています。(兵庫県 一宮 大祐)
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風土に合った生業があり、生業が栄えて文化を生み、文化が栄えて魅力あるまちなみができあがる。まちなみも文化もそこに暮らす人々こそが自由に作り育て守っていくものなのでしょうが、まちなみは風土に合っていた方がいいし、文化も風土にあっていた方がいい。外から見る人にはそれが魅力に映るものだと思います。やはり丹波には黒豆や栗が良く似合う。ぜひ里山を大事にするまちづくりを進めてください。(大阪市 竹沢 宣之)
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| 篠山というところは、外から見ていると、不思議ととりつかれてしまう魅力を持っており、何度となく訪れてしまうところだと思います。シンポジウム参加者の多さを見ても、これからのまちづくりに期待している応援者達が多くいることと思います。さらに、篠山に住まう住民の方々にも、篠山の魅力を存分に再認識してもらいながら、「市民参加型」の100年のまちづくりを進めていただけたらと思います。(神戸市
有井 美由紀) |
小雨が降る中たくさんの方がシンポジウムに参加され、とても熱のこもった議論がなされました。地域の持つ魅力を活かしたまちづくりの重要性を再認識されていただきました。(大阪市
臼田 利之)
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