1997/12 No.10 日本都市計画学会 関西支部だより

関西から新しいまちづくりの風を

支部長 田中孝男


 関西支部が91年9月に発足してから7年目を迎えました。この間に、歴代の役員のご努力や会員各位のご協力で、支部の諸活動は着実に進展して参りました。殊に、阪神淡路大震災後におけるデーターの整備や復興都市づくりの調査研究の取り組みは目覚ましいものがありました。その成果は、本年11月29日に行われた「防災・復興都市づくりシンポジウム」において報告され、一つの区切りを迎えました。震災の傷跡は、まだ完全に癒えたとは言えませんが、復旧の段階から新しいまちづくりに取り組む段階に入ったと言えましょう。関西圏では、これまで関西国際空港、関西文化学術研究都市、明石大橋、そして大阪湾ベイエリア開発などの大プロジェクトに産・官・学が一体となって取り組む一方、生活・産業基盤の整備やニュータウンの建設、地区の再開発、更には賑わいの演出やアメニティの充実などを懸命に進めてきました。

 バブル崩壊後今日に至って、わが国の経済はかってない低迷を続けており、財政改革やリストラが叫ばれる一方、地球環境や心の問題への関心が高まるなど、価値観の転換が起こりつつあって、従来の延長線上でものを考えることが許されない時代となってきています。こうした中で、まちづくりについても、新しい発想とパラダイムの転換が求められています。

 3年前、私はウイーン市を訪れましたが、市民の知恵と力を結集して1000年を越える歴史の中で重厚に蓄積された宗教・芸術・学問を基盤にアメニティ豊かな"市民のまち"を創りあげてきたことを体で感じることができ深い感銘を受けました。

 同じように千年の歴史をもつ関西には、伝統に培われた文化の蓄積がある反面、形式や習慣に囚われない自由闊達な風土があります。また個人や地域の個性や特色が尊重され、独創的な知恵を生み出す土壌があります。そして、これまでにも絶えず時代を先取りする先端的なまちづくりを次々と行ってきました。最近のわが国の閉塞感を吹き飛ばす新しい風は、関西から発しなければなりません。

 21世紀を迎える2001年は、当関西支部が10周年を迎える年でもあります。この時期に当たり、関西がこれまでに培ってきた知恵を踏み台として、当支部を舞台にして産・官・学がより緊密に協力しつつ、21世紀のまちづくりに貢献し得る活動が出来ることを期待いたします。




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