1997/12 No.10 日本都市計画学会 関西支部だより

委員会から
1996年度第2回都市計画シンポジウム


1) シンポジウムの概要
テーマ:積み重ねとしての都市 −モビリティの変革と都市の構造
話題提供・パネリスト: 植田 和弘 (京都大学経済学部 教授)
新田 保次 (大阪大学工学部 助教授)
中島  浩 (大阪府土木部 参事)
岸野 啓一 (中央復建コンサルタンツ 課長補佐)
コーディネーター:中川  大 (京都大学工学研究科 助教授)
日 時:1996年12月20日(木)14:00〜16:30
場 所:大阪国際交流センター
参加者:40名

2) 趣旨およびパネルディスカッションの概要
[報告:中川 大 企画・事業委員(京都大学工学研究科・助教授)]
 
《趣旨》
 交通システムの高度化・多様化、自動車社会への反省など、将来に向けてのモビリティの変革について、都市の構造との関係も踏まえながら議論した。主要な論点は以下の通りであった。
  • 近年の交通行動の変化と将来に向けての変革の方向。
  • 交通の変革が都市に与える影響。
  • 交通需要マネジメントなどのモビリティの変革への取り組みの必要性。
  • 交通面での環境コストと都市づくり。

《話題提供》
 岸野啓一氏(中央復建コンサルタンツ)からは、パーソントリップ調査の分析結果などに基づいて関西圏の交通の特徴や近年の傾向について報告された。徒歩交通が著しく減少し、短距離の自動車利用が増加していることなど、現在の都市交通の問題が浮き彫りにされた。
 ついで中島浩氏(大阪府土木部)からは、都市づくりと自動車利用の関係について、千里ニュータウン開発などの具体例をあげながら説明された。ニュータウン開発における、街路整備や鉄道・モノレール等の整備の役割、住区計画と交通施設計画の連携の重要性などについて述べられた。
 新田保次氏(大阪大学工学部)からは、モビリティを供給サイドと需要サイドの両方から考えることの必要性が示され、交通需要マネジメントの考え方とその具体例ついて説明された。そのなかで、シンガポールやオスロで実施されているロードプライシングについて、その効果と課題が述べられるとともに、関西圏での適用の可能性についても論じられた。
 植田和弘氏(京都大学経済学部)からは、交通が都市や国土に与える影響の大きさを踏まえたうえで、交通施設計画のあり方について問題提起された。自動車に頼る近年の交通文明は持続可能とは言えないとの指摘とともに、環境と都市の調和の重要性が強調された。
 
《ディスカッション》
 自動車の有効性と問題点を中心に、都市におけるモビリティの変革の方向性について活発な議論が行われた。そのなかで、公共交通と自動車の分担関係が重要な課題として指摘され、それは単なる規制誘導等の問題にとどまるものではなく、都市全体の構造、都市生活のライフスタイル、交通の料金体系など様々な分野に渡る複合的な問題であるという認識が示された。これをうけて、新しい試みに対する社会実験の実施や、自治体による行動計画作成などの提案も行われた。



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