1998/4 No.11 日本都市計画学会 関西支部だより

視点
お初天神境内の再整備事業

倉本 恒一 地域計画建築研究所


 梅田、曾根崎にあるお初天神は、近松門左衛門の「曾根崎心中」の舞台ともなり、古くから知られたところですが、戦後、境内に闇市が建ち並び、その後飲み屋街として賑わうようになりました。しかし、大部分が不法占拠だったため10年間の猶予期間を経て和解が成立し、平成1年に9軒の店舗を残し撤去されました。

 具体的な境内の整備計画はこの時点から始まりました。昭和32年に本殿が再建されましたが、その時には、境内の一部を切り売りする方法が取られました。今回の整備計画では、境内に神社所有のテナントビルを建て、その収益でテナントビルと社務所、庫裏、その他整備費および従前権利者への保証金等の資金を賄うという事業の企画提案からスタートしました。

 テナントビルは平成4年に完成し、従前店舗の権利者も出店する飲食、レジャービルとし、若者を中心に年配層まで巾の広いサラリーマン層をターゲットとする店づくりにしました。社務所その他境内整備は、その1年後に完成しましたが、宮大工の伝統を持つ工務店の施工でRC造ですが本格的な木造建築の良さが出ています。

 整備計画は地元の氏子衆が中心となって進められ、境内整備と共にまちの活性化を図ることも目的としています。境内では天神祭りや名物となった「ノミの市」が催され、日中は雑踏とした都会の中でやすらぐサラリーマンの姿が見られます。




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