1998/4 No.11 日本都市計画学会 関西支部だより

今、復興は
景観の復興

山崎 靖生 兵庫県都市住宅部都市政策課長


 阪神・淡路大震災から3年余が経過し、被災地域においてはインフラ等の都市基盤を中心に住宅や産業の復興も総量的には震災前の水準に戻ったところである。今後は、これまでの成果を検証しつつ、仮設住宅の解消など当面する諸課題への対応を急ぎ、被災者の自立復興に向け、一日も早い恒久住宅への入居促進をめざして本格的な取組みを推進していく考えである。
 
景観復興マスタープログラムの策定
 このように住まいの復興が進展する中、景観面では、これまでの歴史や文化の中で培われてきたまちなみや風景が大きく変化しようといている。例えば、庭木や生け垣などの撤去による緑の喪失、プレファブ等の工業化住宅の増加や、敷地の細分化やマンション建設によりこれまでの特徴あるまちなみ景観が失われるなど、地域の景観が一気に変化し、早期の復興や被災者の経済的条件のために周辺の景観との連続性や調和がくずれたり、あるいはまちの基盤そのものから変化するものまで多様な変化が生じつつある。このため、兵庫県においては、すでに阪神・淡路大震災復興基金を活用してまちのシンボル的建築物等の復元などに対して助成制度を創設しているところであるが、さらに、こうしたまちなみ景観の問題点を整理し、次世代につながる美しい魅力ある都市の再生をめざし、景観面から調和のとれた創造的復興についての指針とするため、「景観復興マスタープログラム」として取りまとめることとしている。
 策定に当っては、「景観復興マスタープログラム策定検討委員会」(委員長:鳴海邦碩大阪大学教授)を設置し、被災10市10町の景観担当部局も参画しての現地調査や、プレファブ建築協会との意見交換、女性の立場から見た"暮らしと文化の風景の再生フォーラム"の開催など、幅広い検討調査を行った。その結果、震災後のまちなみの変化は震災復興の特殊条件によるものと、社会経済的な背景(例:工業化住宅比率の漸増傾向等)の中で徐々に起こりつつある変化が震災を契機に前倒し的に表面化したという一般的条件によるものがあるという調査視点のもと、今後の景観復興基本方針を以下のように設定している。
 
平成10年度の景観復興への取り組み方針
 マスタープログラムでの基本方針を受け、県においては、被災市町とも協力しながら、住民参加による景観復興事業として、公募による「継承すべき景観」選定を行うとともに、景観アドバイザーを被災各市町に設置し、地域住民からの景観に関する相談や、震災により消滅したふるさとの原風景の資料収集や保存なども手がけ、住民が主体となった取り組みを支援し、魅力あるまちなみづくりを推進することとしている。
 



前ページ


11号・表紙


次ページ

Copyright(C)1999 (社)日本都市計画学会関西支部