1998/10 No.12 日本都市計画学会 関西支部だより

小特集
高槻・阿武山団地「上の池公園」ビオトープ

福廣 勝介 住宅・都市整備公団関西支社


 高槻市郊外に住宅・都市整備公団が開発した高槻・阿武山団地がある。敷地は約53ha、計画人口1万人弱で、1989年に街開きされ、現在も建設中である。敷地の西、やや南よりに「上の池公園」はある。西側は敷地外雑木林に続き、東側は道路1本挟んで、中層集合住宅である。面積2.73haのこの公園は、高槻市と住都公団が共同でつくった都市計画公園(近隣公園)で、92年4月の開園である。敷地のうち、約半分が池で、大きな水面が緩い勾配の堤の中に開かれ、隣接の雑木林に続く大らかな景色ではあるが、一見何もない公園である。この一見何もない公園、実は雨水流出抑制調整池を都市計画公園に取り入れた、大阪府下第1号である。そして恐らくはビオトープ計画の第1号でもある。87?88年頃、まだ生物学以外の分野で、ビオトープなどという語が一般に流布していない頃の企画である。このトンボをテーマにしたビオトープ池、一見何もないながら、隣の雑木林との小動物の往来を考慮しての動線計画や魚類等、水生生物のための上下流との繋がりなど、敷地外との連続性、又敷地内では池の水際部の段差処理、そして何よりも調整池ゆえの水位変動を少なくするための、池の二段化などそれなりの配慮をしている。しかし、これらは少し昔の農村になら、どこにでもある景色で、その景色で育った人には何も珍しくもないものである。完成後、継続して行っているモニタリングの結果、テーマであるトンボでは、高槻市域での生息報告のある約80種のうち20種近くが確認されている。又下流からのアオサギ等鳥類の飛来、上流からのギンブナ等魚類の自然流入、雑木林からのタヌキ等小動物の訪問も確認されている。勿論、現地でこれらにいつも逢える訳ではないが、都市のビオトープの何よりもの目的である水ガキ(水辺に集まってくる子供達の事)には、天気の良い午後などよく出逢えるので、一度訪ねて頂ければと思う。

 尚、このビオトープの計画推進に対して、96年度日本造園学会賞が与えられた。受賞して、担当した者として、美しいビオトープの実現を大きな宿題として頂いた。当地訪問されましたならば、ついでに団地の町かどなど各所に点在する彫刻アートについても是非見て頂き、ご批評頂きたい旨付け加えておきたい。




前ページ


12号・表紙


次ページ

Copyright(c)1999 (社)日本都市計画学会関西支部