1998/10 No.12 日本都市計画学会 関西支部だより

大学の動き
神戸大学における改組と計画系の教育・研究体制

安田 丑作 神戸大学工学部教授


 神戸大学における計画系の研究組織(講座)は、工学部の「建築学科」と「土木工学科」を中心に形成されてきたが、その母胎となったのは昭和31年度から増設された建築第5講座(建築意匠)と昭和39年度から増設された土木工学第6講座(交通工学)であった。

 その後昭和51年度からの「環境計画学科」の新設に伴い、計画系として環境施設計画講座と地域環境・防災講座(構造系と連携)とが新たに加わった。こうした拡充改組やその後の教官の定員増などに伴って、建築、都市、地域、交通、住宅、防災など広義の計画系分野を扱う教育・研究体制が整備されてきた。

 一方大学院は、昭和39年度から「工学研究科(修士課程)」が設置され、さらに昭和54年度には当時全国的にも例をみなかった独立大学院博士課程の「自然科学研究科」が設置された。この自然科学研究科では、工学・理学・農学を基礎とした学際領域分野による編成がなされ、物質科学、生産科学、資源生物科学、環境科学、システム科学の5専攻が設置された(後に知能科学専攻が加わり6専攻)ため、修士課程(工学研究科)と博士課程(自然科学研究科)のいわば2層制の大学院の編成がなされることとなった。それに伴って計画系の大学院の講座と教育研究分野は、修士課程では建築学・環境計画学・土木工学の3専攻、博士課程では「環境科学専攻」(地域環境および緑地環境の2大講座を中心)に配属された。

 ところで、近年の科学技術の発展による専門分野の深化と細分化の必要性は、境界領域の開発と学際研究の進展をもたらしたが、それに伴って旧来の学部・学科のあり方の見直しと新しい学問体系の構築が求められることとなった。神戸大学では平成4年度の教養部の解消と学部の再編に着手したのに合わせて、工学部においては既設の11学科(49講座)と共通講座(4講座)を5学科(18大講座)に改組し、学部教育の4年一貫教育を開始した。

 その結果、それまでの建築・環境計画・土木の3学科は「建設学科」として統合されることとなり、18講座が「建築計画学」、「都市設計学」、「構造工学」、「社会環境工学」、「地域環境工学」の5大講座に再編成された。計画系はこのうち建築計画学、都市設計学、社会環境工学の講座を中心に配置されており、その主な教育研究分野は、建築史、建築計画、建築意匠、建築設計、建築造形学、都市計画・都市景観学、交通システム計画、都市経営情報学、都市人間工学、生活空間学などからなっている。平成6年度からは大学院修士課程が自然科学研究科博士前期課程として学部の学科編成に対応した5専攻に改組されたが、実体的にはこれまでの工学研究科とほぼ同様に工学系分科会として運用されている。

 さらに平成9年度からは、大学院後期課程のこれまでの6専攻から7専攻への改組が進行中であるが、すでに計画系は新しい「地球環境科学専攻」の一部に改組・編成を終えている。計画系の所属する主な講座と教育研究分野は、環境計画講座(交通環境計画、都市環境設計、地域環境防災など)と空間形成講座(居住環境計画、環境形成史など)である。

 その他、平成4年10月に開設された独立大学院「国際協力研究科」の「地域協力政策専攻」(平成6年4月設置)に所属する「都市環境論講座」、平成8年5月に設立された「神戸大学都市安全研究センター」に本年度から新たに設置された「都市安全マネージメント研究分野」などにも計画系分野が位置づけられている。

 このように近年の拡充・改組により神戸大学の教育・研究環境は大きく変わってきたが、もともと計画系の学問自体が時代と社会の要請に応じながら諸学問領域と連携しながら発展するものであり、自然科学あるいは工学系の枠内にとどまるものではない。しかし一方で、特に学部の計画系教育においては依然として<建築系>と<土木系>の伝統的流れがあり、入試制度の改革問題や卒業生の活動分野の変化ともからんで、今後研究と教育との連携のあり方が引き続きることになろう。




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