1998/10 No.12 日本都市計画学会 関西支部だより

委員会から
第1回都市計画講演会


1)概要
テーマ:昆虫から見た都市
講 師:石井 実(大阪府立大学農学部教授)
司 会:増田 昇(企画・事業副委員長 大阪府立大学農学部)
日 時:1997年9月19日(月)18:00〜20:00
場 所:IBCフォーラム
参加者:25名
 
2)講演概要
 [報告:増田 昇 企画・事業副委員長(大阪府立大学農学部・教授)]
《趣旨》
 都市と自然との共生が課題となっている現在、共生のあり方を探る上で生態学的なアプローチが求められている。ご講演を頂いた石井実先生は、昆虫生態学がご専門で昆虫生態の立場から都市化の影響や里山の保全に係わる多くの論文や著書を書かれていることから、昆虫から見た現在の都市の現状や問題などについてご講演いただいた。
《講演要旨》
 講演では、我々にとって最も身近な存在であるチョウ類をとり上げ、チョウ類の生息と生息環境との係りあいを具体的にお話いただいた。一例を紹介すると、オオルリシジミの生息は幼虫の食草であるクララの分布に依存しており、そのクララは機械化農業の進展や過疎化による管理放棄地の拡大などの影響によって減少し、その減少に伴ってオオルリシジミも減少することを報告され、チョウ類の生息も人間活動と密接に係っていることをご指摘いただいた。また、大阪の都心部に位置する大阪城公園では1960年代後半に28種いたチョウ類が80年代終盤には14種しか確認できなかったことに見られるように、各地の都市におけるチョウ類の衰退が著しいことも指摘され、都市環境が著しく劣化していることの危惧を述べられた。
 一方、大阪府美原町さつき野の住宅開発に見られるように、緑化協定による連続植樹帯を設置することによってチョウ類の種の多様性は向上するといった報告も頂き、飛翔能力の高い昆虫類では、都心であっても生息に適した環境を用意すれば飛来し定着してくれる可能性も述べられた。
 最後に、昆虫の生活史から生息に適した環境を準備することの重要性と準備した生息環境は極力連続化させネットワーク化させることの重要性を述べられた。また、都市では花が積極的に用いられる中で、今後は訪花昆虫の視点から取組が興味深いといった指摘も頂いた。



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