1990年代に入って社会の内部に大きな構造変化が進みつつある。学問の世界でも大学を中心に改革が進行し、専門が再編成され、他分野との連携がますます重要になっている。この構造変化の進展により新たな社会活力、学問活力が実を結ぶことが期待されている。都市計画の世界においても近年多くの局面への胎動が感じられる。以下はその例示である。 1995年に起きた阪神大震災は都市計画に大きな試練を与えた。ライフラインや都市機能を支える都市(インフラ)づくり議会という言葉が、社会の奥深くに定着したことが特に印象的である。神戸市や豊中市など関西で地道に積み重ねられてきたまちづくりの経験と人材が生かされたことは素晴らしい。福祉、医療、健康、環境、青少年問題など他分野においても、まちづくりの文脈で語られることが多くなった。「次世代都市計画」は都市づくり、まちづくりの2本柱に再編されて進むことを予感させ、2者の役割分担を明確にすることが当面の重要な課題であると思う。 さて都市関西の大きな特色は、京都、大阪、神戸の3つの大都市、人口数十万人の数々の中都市、そして人口数万人の小都市群が、適度に分布し歴史的に競合し連携して発展してきたことにあると考える。この大、中、小の規模に見合った3つのタイプの都市計画を区別するという考え方が、関西における「次世代都市計画」の1つの姿ではないか。特に個性を発揮している小都市タイプの都市計画の動向が今注目される。 20世紀関西の都市計画人は、常に時代を1歩先んじる努力と実績を積み重ねてきた。21世紀を迎えるに当たって、「次世代都市計画」をキーワードとする関西発の活発な議論が今こそ必要である。 |
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