1999/4 No.13 日本都市計画学会 関西支部だより

特集
バリアフリーをめざした阪急伊丹駅

児玉 健 日建設計


1.復興のシンボルとしての阪急伊丹駅
 阪神大震災により駅舎が倒壊した阪急伊丹駅の駅舎は、「伊丹市の復興のシンボル」として平成10年11月に新しく完成しました。
 このプロジェクトの中で特筆すべきことは、設計段階から当事者(高齢者・障害者等)の意見を取り入れ、ディテールにわたって意見が反映されたことです。後述する委員会の事務局として計画段階から竣工まで参加させていただいたことから、特徴的なことをまとめてみました。

2.何がきっかけだたのか?
 駅の復興に際して、交通エコロジー・モビリティ財団の「アメニティターミナル整備事業」が適用されることになり、「阪急伊丹駅アメニティターミナル整備検討委員会」が設立されました。このメンバーに高齢者・障害者団体の代表が参加し、議論が始まったことがきっかけです。
 それ以前から、市民代表からは、阪急伊丹駅の復興に際して、独自のアンケートがなされるなど市民の関心の高いプロジェクトでした。
 また、このアンケート結果は、その後の検討の指針になりました。

3.当事者の意見が何に反映されたのか??
 「誰でもが利用しやすく快適な駅づくり」をテーマに、「何を設置すべきか」が議論されました。その中で、
  • エレベータ、エスカレータなどの施設をメイン動線上に配置し、分かりやすく、使いやすい施設とする。
  • 高齢者・障害者が使える災害時の避難経路を確保する。
  • 視覚障害者・聴覚障害者への情報提供、安全性の確保ができるようにする。
ということが決められ、それを実現できるような施設整備に対する議論が、基本設計段階から工事期間中も続けられました。
 主な施設は以下のとおりです。
  • 車いす利用者と健常者が利用しやすいように2基の大きなエレベータを設置(15人と21人乗り)
  • プラットホーム先端に避難用のスロープを設置
  • 音声ガイド゙システムの設置
  • インターホンを設置し、ハートフルプラザと接続

4.少しの工夫でより使いやすく…
 エレベータ内の手すり位置、使いやすい音声ガイドシステムは何か、触知図板のボタン位置など、工事完了間際まで、現場見学会も含め検討会が実施され、事業者、当事者それぞれが非常に前向きに対応されていました。
 これらの検討の中で、障害者団体代表から「少し工夫するだけで多くの人が使いやすくなる」という意見が出され、さらに、事業者側も「作る限りは使っていただける施設にしたい」という姿勢で対応され、このことにより、より使いやすい駅が完成したと考えています。関係者の方々のご努力には、頭の下がる思いでした。

5.今後
 今後、同じ委員活動として駅施設の評価がされる予定になっています。皆様も一度、足を運んでみて下さい。



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