1999/4 No.13 日本都市計画学会 関西支部だより

特集
「HAT神戸」のまちづくり

三輪 秀興 神戸市東部新都心整備室長


 震災後、当初の構想である「機能複合型ビジネスパーク」的なゾーンを確保しつつも、復興住宅の早期、大量供給を第一目標として、'96年前半から、区画整理,住宅市街地総合整備,港湾整備などの複合的な事業を開始した。全域は120ha、うち臨海部工業地帯は土地利用転換と基盤整備を図るため区画整理事業を75haにわたって施行した。公的住宅は、4600戸の計画の内、これまでに通算3600戸、来春までにはすべてが入居の運びとなっており、'98年4月には小,中学校も新設・開校されている。また、業務,研究ゾーンにはIHDセンタービルが同時期に竣工し、WHO神戸センター,日本看護協会研修センター,アジア防災センターなどの機関が稼働している。等々が「HAT神戸(東部新都心)」の概況である。

 今回のテーマに沿ってまちづくりを紹介する。臨海部は、地区全体を概観すると、スーパーブロックの構成となっており、ウォーターフロントには2.5kmにわたるハーバーウォークや4.4haの水際広場がある。災害時には避難地、アクセス基地となり、地下には耐震性貯水槽も造られる。幹線街路の横断は街区間を結ぶデッキによるが、緩勾配のスロープやエレベータ設置のものとし、木製の舗装としている。この幹線は、幅員40mのうち両側に9m幅のフットライトのある歩道を持ち、中央帯と併せての5列列植のブルバールを形成する。

 街区レベルでは、阪神高速道路沿いに立体駐車場を配しバッファとするとともに、自動車動線を纏め、歩行者にとって面的にバリアフリーな動線計画としている。要所にはベンチ、また、車椅子対応の電話ボックスやポストが設置されている。公的住宅街区では利便施設を配したモールを造り、防災アメニティ空間を、また、住棟間にはややオープンな中庭を造り、くつろぎの空間としてコミュニティの形成の場になるよう期待している。また、市営住宅の低層階には特別養護老人ホーム,在宅介護支援センターが併設され、灘,中央区における福祉拠点になる。上層階はシルバーハウジングとなっており、まちづくりの最初から福祉施設がビルトインされ、連携して機能する。また、空中庭園,駐車場棟の屋上緑地,雨水貯留施設などが整備されている。

 住戸についても「神戸の住宅設計基準(KOHDES)」などに基づき、日常生活の安全性と快適性を考慮したバリアフリーの造りとなっている。また、緊急時対応として、シルバーハウジング,高齢者特目住宅,単身者向け住宅などには自動安否確認システム,ナースコールシステム,非常用押しボタンなどが住戸の供給目的に応じて用意されている。

 断片的な紹介となったが、「HAT神戸」では「安全,福祉,環境,活力」の4つの視点でまちづくりを進めている。また、ソフト面では行政による高齢世帯支援員,地域福祉コーディネーターなどの支援が行われており、併せて、地元組織,NPOによるウェルカムイベントや各種交流会など、様々な積極的な取り組みが試みられ、拡がりつつあり、それらが活かされて、真に「ハッピー(H)で、アクティブ(A)な、まち(T)」、「新しいコミュニティと文化を育むまち」に育ってほしいと思っている。




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