1999/4 No.13 日本都市計画学会 関西支部だより

特集
「だんだん畑」のある団地 −南芦屋浜震災復興住宅団地−

橋本 敏子 生活環境文化研究所


 南芦屋浜の埋立地に建設されたこの団地は、814戸からなる集合住宅で、入居者は震災で被災した人々である。この団地には、約400u余のだんだん畑が公共緑地に2箇所設けられている。この畑は人と人とが出会い、新しいまちの環境を住民自ら育てること−コミュニティづくり−に関わる場と機会をつくりだす装置として導入されたアートワークの一つである。

 従来、団地の公共緑地はパブリックスペースであるが故に住民に開放されていなかった。花壇や菜園も、実際は黙認という形で存在していたものが、今回はじめてコミュニティ形成のための場として開放されたことが大きな特徴である。

 入居前から十数回にわたり仮設住宅に住む入居希望者に対して行った「出前講座」を通して、植栽活動の好きな仲間づくりを行い、入居後、住民の同好会として立ち上がり、自治会がつくられた後は、自治会活動の一つとして運営されている。

 畑の手入れ、種蒔きや水やり、そして収穫などを通して、住民が出会い、そして共同作業をとおしてパブリックスペース運営のルールを住民自ら決定していく仕組みになっている。常時かかわる住民の数はそう多くはないが、収穫祭や畑でのお月見、土起こし、畑で育てたハーブを使ったお茶会などの小イベントの開催により、住民の誰もが参加・交流できる機会をつくっている。




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