1999/4 No.13 日本都市計画学会 関西支部だより

大学の動き
大阪大学における大学院重点化と学科再編

森 康男 大阪大学大学院工学研究科教授


1.大学院重点化と学科再編の概要
 大阪大学では、平成7年(1995年)から、大学院における教育・研究を充実するための改革、いわゆる大学院重点化がスタートした。
 工学部における大学院重点化は、大学院を4つの系にグループ化すると共に、各系にそれぞれ1つずつ分野横断的な専任専攻を新設した。我々の分野では、それが地球総合工学専攻である。専任専攻は、各研究分野が専門化、先端化する中で、縦割り化が進み、蓄積された知識が他の分野でなかなか活用されないという問題点を打開するため、従来の専攻からそれぞれパイオニアとなる分野を出して構成した。もう一つのポイントは従来の小講座制を大講座制に改めることである。大講座制の採用は、学生が複数の教官の指導を受けられるようにすること、停年など教官の移動があった場合に教育の連続性を保つこと、さらに若手教官の自由度を高めることなどを狙ったものである。
学部の方は大学院が4つの系にグループ化されたことに対応して、従来の20学科を4つの大学科に統合した。我々の分野では、地球総合工学科にあたる(表1)。入試を大学科ごとに一括募集し、新入生はまず大学科単位で、共通教育と専門分野の導入となる授業を受け、1年次の終わりから2年次の間に、大学科内の学科目に分属する。学科目とは大学科の教育に関する専門分野の細目であり、従来の学科に相当する。
 
表1 改革移行後の学科と学科目および専攻

旧学科新学科・新科目大学院工学研究所
 
船舶海洋工学科
土木工学科
建築工学科
環境工学科
 
船舶海洋工学
地球総合工学科土木工学
建築工学
環境工学
地球総合工学専攻
船舶海洋工学選考
土木工学専攻
建築工学科専攻
環境工学科専攻
 
2.土木工学・建築工学から地球総合工学へ
 大阪大学工学部の建設系(船舶海洋工学・土木工学・建築工学・環境工学)においては、(1)各分野を総合した技術課題への対応と総合的技術思考の可能な人材の養成ならびに社会人再教育。(2)共生理念に基づく地球環境の保全と空間利用に関する新たな知識体系の形成と技術対応、およびその研究・教育。(3)持続的開発の技術的条件の編成と国際的プロジェクト推進の支援研究。(4)社会的要請への対応とその研究教育の高度化ならびに新展開をねらいとして、大学院研究教育の社会に開かれた母体を形成するために、地球総合工学系へと改組した。その概念を図1に示す。
この系では、それぞれの分野における先端的領域あるいは学際的領域の教育と研究を推進し、幅広い知識と視野をもち、創造力に富み、オピニオンリーダーとしてまた国際的にも活躍できる人材を育成するため、地球総合工学専攻を新たに専任専攻として設置するとともに、既存の専攻の見直し再編を行った。
 再編される基幹専攻では、専任専攻と密接に連携あるいは他専攻と協力して、それぞれの専門分野における教育と研究の高度化、深化を進め、独創性に富み、思慮深く、各分野の先端工学を担当し、国際的に活躍できる専門技術者、研究者の育成に努めるとしている。
 (この報告は、大阪大学工学部土木工学科・建築工学科創設50周年記念誌をもとに作成した。)
 



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