1999/4 No.13 日本都市計画学会 関西支部だより

委員会から
都市計画シンポジウム
1998年度第2回都市計画シンポジウム


1) シンポジウムの概要
テーマ:ファームウェアとしての都市づくり−地方分権とまちづくり−
パネリスト:飯干  (芦屋市都市計画部次長)
芦田 英機 (豊中市政策推進部部長)
藤原 龍男 (貝塚市都市政策部企画課参事)
水口 宗夫 (堺市都市局都市計画部部長)
ゲスト:大村謙二郎 (筑波大学社会工学系教授)
コーディネーター:赤ア 弘平 (大阪市立大学工学部建築学科助教授)
司 会:岡山 敏哉 (大阪工業大学工学部建築学科講師)
日 時:1998年10月31日(土)13:30〜17:00
場 所:OCATホール
参加者:55名

2) 趣旨およびパネルディスカッションの概要
[報告:岡山 敏哉 (大阪工業大学工学部)]
《趣旨》
 今回は「地方分権とまちづくり」をテーマとしました。現在、地方特性を活かした独自のまちづくりを積極的に展開している地方自治体が多くあり、そのまちづくりを学ぶことにあわせて、地方自治体の立場から地方分権に関する意見を聞き、「しっかりした(firm)まちづくり」をめざす地方分権のあり方について議論することをシンポジウムの目的としています。
 想定した主要な論点は次のとおりです。
  • 地域特性に根ざした独自のまちづくりの展開事例に学ぶこと
  • 現状のシステムが地域特性を活かすまちづくり推進を阻害していることがら
  • 地方分権推進委員会勧告と都市計画中央審議会答申の方向性の評価と積み残された課題
  • 地方自治体からみたまちづくりにおける地方分権のあり方
《基調講演および話題提供》
 飯干氏(芦屋市都市計画部次長)は、「『文化住宅都市』にふさわしいまちづくり−芦屋市生活環境保全のための建築等の規制に関する条例について−」というテーマで、法律と条例をめぐる問題、その考え方の変遷及び芦屋市の条例の特徴と内容について講演されました。
 芦田英機氏(豊中市政策推進部部長)は、「まちづくり条例とまちづくり協議会−まちづくり支援室創設の経緯と活動状況について−」というテーマで、「商人大学」、「産業振興ビジョン」の策定と策定チーム、条例の制定と運用、協議会の組織と活動、支援室の活動について講演されました。
 尾上浩二氏(自立生活センター・ナビ)は、まず障害当事者(車いす)として自分のある日の行動記録を示し、その中で健常者ではわかりにくい通行性と情報性の一貫性欠如がどのような困難をもたらしているかを述べた。まさに当事者が故の指摘であり、貴重な提起を行って参加者にリアルな問題認識を与えた。また、大阪市の地下鉄や民鉄の駅について整備率などのデータを示した。大阪はこれまでの運動で45%の駅がエレベーター対応をしており古い駅の多い中で大きな成果をあげているものの、依然未対応駅も多いことや、情報、わかりやすい動線およびトイレなどについての立ち後れについて述べた。これらを通じてモノづくりと情報、人的支援の関係について述べた。
 藤原龍男氏(貝塚市都市政策部企画課参事)は、「市民が主役の生き生きまちづくり」というテーマで、貝塚市の地域支援運動の紹介と大阪府市町村振興協会の地方分権研究会における市町村側の代表委員という立場から市町村の地方分権に関する意識等の説明をされました。
 水口宗夫氏(堺市都市局都市計画部部長)は、「地方自治体からみた『地方分権とまちづくり』」というテーマで、「中核市・堺」の都市計画の担当者の立場から地方分権に関する意見を述べられました。
 ゲストの大村謙二郎氏(筑波大学社会工学系教授)は、(社)日本都市計画学会地方分権研究小委員会代表の立場から、地方分権化の背景、地方分権をめぐる論点及び今後の展望・期待について講演されました。
《ディスカッション》
 基調講演の後のディスカッションでは、地方分権に移行する前の行政再編、政策形成能力の問題、地方分権が進まない障害(縦割り行政、補助金行政)、地方分権の役割(地域間競争の調整)、地方分権のあり方(選択の余地のある多様なまちづくり)、組織を含めたまちづくりのプロセスのルール化、自治体プランナーの役割と育て方、都市のマスタープランの画一化とコンサルタントのあり方、住民参加の問題などについて議論されました。
 また、参加者とパネリスト・ゲストの間で、自治体の人事(交流)、自治体の計画権限、現時点での地方の行政改革、まちづくりの「仕掛け」についての質疑応答が行われました。



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