1999/9 No.14 日本都市計画学会 関西支部だより

特集
事例紹介 1 兵庫県丹波地域における住民グループ活動
 
藤本 真里 (姫路工業大学自然・環境科学研究所)


 JR大阪から「特急北近畿」あるいは「特急エーデル鳥取」に乗って、約1時間で篠山市の篠山口駅、さらに約20分乗れば氷上郡の柏原駅に到着する。この篠山市と氷上郡を兵庫県庁では丹波地域と呼んでいる。豊かな自然に恵まれながら人々が疎住する、このような中山間地域は面積的には国土の大半を占めるところである。この稿では、丹波地域で現在展開している住民による地域づくりの一端を紹介したい。
 
*地区単位の地域づくりを担う自治会*
 主要な産業である農業振興、山林などの財産管理、祭など催事の運営、公民館運営など地区に関わることは自治会が中心になって担っている。様々な役割をもつ自治会全体が、地区の将来についてじっくり議論したり、新たな事業を始めたり、開発等の動きに対応することは、時間的にもしくみとしても不可能なことが多い。そのような中で次世代ともいえる若く行動力のある担い手達が、自治会と密に連携した組織を新たにつくるところが多くみられる。丹波地域で唯一まちづくり条例をもつ丹南町(現在の篠山市)で第1号に認定された「野中地区里づくり推進協議会」は、そんな組織が中心になって設立されたものといえる。協議会設立の5年程前から地区の将来について検討していた「野中をようする会」のメンバーが協議会の中心であり、その議論の蓄積が協議会策定の「里づくり計画書」に反映されている。その計画プロセスについてリーダーは「私たちが話すことを役所から来た専門家がわかりやすい絵にしてくれたことが良かった」と語る。まさに住民主体行政支援型の計画づくりが実現している。他にも様々な活動がみられ、このような組織のメンバーが地域づくりの中心的担い手になるものと期待される。
 
*町単位の地域づくりを担うグループ*
 町など行政による呼びかけで発足するグループも多い。その活動範囲は全町であり、行政との連携も密である。ふるさと創生基金活用策を検討すべく青年層各団体から推薦されたメンバーで発足した市島町の「ふるさと市島未来塾」は、部会に分かれて自ら事業計画を立てている。幼児向け環境教育やスカイスポーツに取り組んだ部会は独立し、新たな団体を発足させている。また有機農業の部会は、酒造り、大豆による加工食品づくりなど、通年で都市住民を受け入れ、地域の良さをアピールするイベントを実施し成功している。都市生活改善実行グループが母体となっている「氷上町つたの会」は町から特産物開発の依頼を受け、加工・販売に伴う保健所の許可申請、加工所の確保などを経て、地元の牛乳を利用した「氷の川うどん」等々を開発し販売拠点も確保している。これらのグループの活動は行政の呼びかけが発端になっているが、行政による支援は資金的援助、軽微な事務局支援、情報提供などに留まっているため、活動の計画・実施の主体はグループにあり、多彩な活動が実現している。
 
*今後の展開*
 以上紹介できた活動グループは極一部で、この他にも趣味などが共通する同志でつくるグループも数多く、活動範囲は町域を超えるもの、行政の支援を受けずに独自に事業を展開するものもある。これらのグループも含めた今後の展開を考えるとき、丹波地域住民が策定した地域の将来像である「丹波の森構想」(昭和63年)とその推進母体である(財)丹波の森協会(平成2年設立 地元自治体も出資)の存在は重要である。構想は住民が地域の将来について大きな方向性の共通認識を持つ上で、また協会は住民が主体的にすすめるべき地域づくりを行政との間に立って支援する組織としてである。
 地域づくりの基本単位は地区であろう。地区単位の地域づくりを担うグループがその他のグループとどう連携するかが地区の発展につながるものといえよう。



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