1999/9 No.14 日本都市計画学会 関西支部だより

特集
事例紹介 3 大阪長堀のまちづくり
 
中川 昭郎 (大阪市建設局街路部街路課設計 係長)


*はじめに*
 大阪市は、「キタ」と「ミナミ」のターミナルを核として街が広がり、交通網も御堂筋をはじめとする南北軸方向に発展を遂げてきた。しかしながら、近年、市域西部におけるテクノポート大阪計画をはじめとするウォーターフロント開発や大阪ドームの開業、東部の「国際花と緑の博覧会」会場跡地である鶴見緑地の整備や大阪ビジネスパークの開発など、東西方向の拠点開発が活発となっている。そこで大阪市では、東西軸、南北軸の結節点となる長堀地区の開発を促進すべく、地下街・駐車場・地下鉄が一体となったジオフロント開発を計画し、地下交通ネットワーク整備と地上部については長堀通を御堂筋に匹敵するシンボルロードとして整備を行った。
 
*まちづくりの経緯*
 長堀通は、昭和37年長堀川を埋立て49mの広幅員道路の整備が行われたが、その結果、まちが南北に分断され、人の流れが大きく変わり、地区の発展を阻害している状況にあった。そんな長堀のまちをなんとか活性化しようと、1981年に地元の人たちが中心となり、周辺企業や商店で組織されたのが「長堀21世紀計画の会」である。「長堀21世紀計画の会」は、大阪市に対して周辺地域全体の活性化を図るため、地下鉄、地下駐車場を整備するとともに地上を「公園通り」として整備するという「長堀大通公園計画」を提案した。大阪市は、これらの要望に応えるため「シンボルロード整備事業」を活用し、景観形成の計画を立案し事業を実施した。
 
*事業概要*
 本事業は、地上並びに地下の整備からなり、地下部分においては地下交通ネットワーク整備として地下4層とした。地下1階は公共地下歩道及び店舗を含む地下街を、地下2〜4階は駐車場を整備し、また、地下4階部分に地下鉄鶴見緑地線と長堀橋駅を整備し、既設の四ツ橋線・御堂筋線・堺筋線の各駅と公共地下歩道により乗り継ぎを可能とした。
 地上部分については、大阪市で初のシンボルロード整備事業として、都市の象徴となるような景観向上に配慮した街路整備を実施した。本事業は、平成4年10月に着手し、地下部分が平成9年5月に完成、引き続き地上部分が平成10年12月に完成した。
 
*まちづくり協議会*
 本事業の実施にあたっては、学識経験者や大阪市関係部局で構成する「景観検討委員会」と地元住民、学識経験者、関係行政機関からなる「長堀通まちづくり協議会」を設置し、長堀通に面する街区のまちづくりの整備計画、事業等に関する調整を行った。「協議会」では、道路の色調の調整や道路附属物のデザインなどの景観及びゴミ問題や駐輪場の設置位置など道路管理の問題について話し合いを行った。話し合いの中で住民代表から自主的な建築物に対する規定を設けること、また、道路の清掃並びに不法駐輪等に対する道路維持管理組織を結成することなど提案され、協力が得られることとなった。長堀通は、この組織を通じて関係者全員の協力体制のもと、計画段階から事業実施まで計画意図を十分認識され、整備されたものである。
 
*おわりに*
 本事業の完成により、当地区に対する周辺地区からの関心が高まり、また、海外一流ブランドの大型店が次々とオープンし、街はインポートショップが似合うファッションタウンに変貌しつつある。大阪市で初のシンボルロード整備として周囲の大きな期待を寄せられたが、地元関係者の熱意と協力により、まちづくりとしての目的を達成することができた。



前ページ


14号・表紙


次ページ

Copyright(C)1999 (社)日本都市計画学会関西支部