2001/1 No.15 日本都市計画学会 関西支部だより

都市計画は変様に応えられるか

支部長 平峯  悠
日本都市計画学会副会長
大阪高速鉄道 代表取締役社長


 ここ数年、街の様子が変わってきている。平日・休日を問わず仲間と連れ立って外出する中高年、街の思いがけない所で出会うお洒落なレストランやブティック、乳母車を押す母親とそれを取り囲む祖父や祖母、活況を呈しているカルチャーセンター、地元や地域を中心とした多様な生活行動等など枚挙にいとまがない。また交通機関や道路が意外と空いている(都心方向への鉄道利用者あるいは高速道路の交通量の減少)など今までとは異なった変化が感じとれる。これらの変化を価値観の多様化、高齢化の進展、住民のニーズの変化という陳腐な言葉で言い表すと「街」は理解できず都市計画としての対応も出来ない。

 これまでの都市計画は人口等の基本フレームがマイナスに転ずるということを考えに入れていないし、バブルのような急激な社会の変容には殆ど無力であった。またその対応に当っては過去の方法を修正するあるいは付け加えるという方法をとり、抜本的な考えの改変はしていない。さらに都市計画の専門家や担当者の多くは現行の法定都市計画の理屈や手法に縛られ、土地利用や用途、容積等の弾力的な運用に消極的であり結果的には社会の変化に対応できていないのが現状である。おかしいと思っていてもこうすべきであると強力に主張する人も少ない。

 街の変化に対応するためには、都市計画に携わる人たちが自ら生活者の立場や視点に立ち、鋭い観察力と洞察力をもって変容に素早く対応する。その対応策も今までの効率性や利便性を最優先としないことは当然である。同時に変わってはならないものとして、将来の都市を決める街路や水辺空間即ち都市の根幹的施設を提供することである。骨格づくりは供給側の責務であり不退転の決意で作り上げねばならず、一方変化するものには常に柔軟に対処することが基本である。これがいわゆる不易流行への取り組みの基本姿勢であると考える。

 住み方や暮らし方は変わる、交通は変わる、環境に対する意識が変わる、その変様に都市計画はどのように応えていくのか。都市計画の枠組みや手法等を問い直すチャンスだと思う。




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