2001/1 No.15 日本都市計画学会 関西支部だより

特集
パブリックをデザインする

小浦 久子 大阪大学


 都市は経済的・社会的・文化的状況を反映する。

 21世紀には、人口は減っていくと予想されている。産業構造の転換にともない、既に大規模な生産拠点は整理され、臨海部に大きな空地ができている。情報社会は情報処理の効率化と分散化を可能とし、集中的な事務所需要を低減させる可能性がある。都市における空間需要と、人・もの・情報の移動において、質と量が変化する。都市のなかに、空間的にも機能的にも多くの隙間と多様な混在ができてくる。

 このような状況のなかで、都市のかたちをどのように再構成していくのか。より拡散させていくのか、隙間を再編しながら、地域の環境と活動のまとまりを再生するのか。これは、成長期とは異なり、大都市も地方都市も同じ課題である。だからこそ、都市計画の地域化が問われる。地形や風土との共生、そこでの経済・社会活動のあり方と合わせて、既存の基盤を活かし、都市の大きな構造を持続性のあるかたちへ再編するしくみが必要である。

 もうひとつの課題は、景観に象徴的に現れている。町並みは、ひとつひとつの建物が建ち並ぶことで形成される。同じ街区構造でも異なる風景が現れる。まだ当分、スクラップアンドビルドが続くと思われるが、そのひとつひとつの建築行為が、敷地に閉塞したまま、市場性による商品として供給されている。地域や場所に蓄積された風景への理解よりも、文化の価値よりも、経済合理性が優先され、風景が断片化していく。都市計画は、経済性だけでなく、地域の歴史や文化と環境デザインをつなぐ役割もあるはずだ。

 都市の再編と合わせて、生き生きした生活空間をどのようにつくっていくか。それは、グローバルなネットワークを前提に、ローカルなリアリティをどうつくるかということである。パブリックをとりもどすことから始めたい。使えない土地、余っている土地や建物は本来、価値はないはずである。例えば、公的機関の保証により、時限で安い賃料で新しい文化創造や生産活動に使うというような、パブリックな場所に変え、粗密化する都市で活動の密度を高める。生活道路の敷際(敷地内でもいい)に、樹木を植えることで、バラバラな建物の通りのまとまりと安全を生みだす。いずれもパブリックづくりである。

 計画はパブリックを空間化するしくみを担う。それは、個々の建物や多様な活動、サービスなどを、地域の環境や生活、経済的条件のなかで生み出していくときに、それらが、都市計画が構想する都市の大きな枠組みと相互作用しながら、どちらもが調整されるようなプロセスをデザインすることである。開発の技術から再生のデザインへ。




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