2001/1 No.15 日本都市計画学会 関西支部だより

特集
都市計画の課題 −計画の適切な見直し−

塚口 博司  立命館大学


 都市計画を立案し、それを実現していくには、長い時間が必要であるが、一方で、現実の社会は急激に変化しており、今後もさらに大きく変貌していくことが予想される。このため、たとえ十分に検討して立案された計画であっても、種々の経緯によって、ある程度期間が経過した後にも実現していないものに関しては、新たな視点を加えて、計画を見直さざるを得ないであろう。私権に大きな制限を課す都市計画にあっては、一旦決定した計画の大幅な変更は困難であり、適切でないことが多いが、計画はある程度の期間ごとに、慎重に、そして大胆に見直すことが必要である。21世紀を迎えた今日は、このような計画の見直しにとって、よい時期であろう。

 その際に留意すべきは、現在以上の情報の公開とアカウンタビリティであろう。計画を提案する場合に、計画の必要性に関する十分な説明や経過プロセスの透明化が必要であることは言うまでもないが、計画を変更する場合にも、同様に一層十分な説明が必要である。

 都市計画道路は、計画変更が困難な事業の代表例である。都市計画道路は、計画決定時には、当然将来的な必要性を見込んで計画されたものであるが、その中には、計画決定後、長時間を経たにもかかわらず、事業化に至っていないものが少なくない。長期間にわたって事業が実施できない計画であっても、今後もその実現に努力していかなければならないものが多いことは当然であるが、社会状況の変化によって、他の施策に変更した方が望ましいものも含まれているであろう。

 都市計画道路の見直しに関しては、まず道路および道路網の機能に関する分析を行い、それぞれの道路の機能を今日的視点から今一度明確にしておくことが重要である。その上で、今後必要となる新たな路線が提案されることもあろうし、逆に計画当初における必要性が薄れた計画にあっては、それを中止することもあるであろう。このような柔軟な対応をしていくべきである。そして、その際に、市民に対して計画を変更するに至った根拠を明確に説明すること、その過程をできるだけ透明にしておくこと、そしてそのルールづくりが必要である。市民に都市計画道路の必要性を充分に認識してもらうとともに、もし、計画を撤回する場合であっても、その理由を明確に説明することが求められる。

 計画の必要性は、社会の動きに関連して変化するものである。将来の展望に立った積極的な見直しであれば、躊躇することはなく、果敢に実施すべきであろう。市民にわかりやすく説明し、その理解を得るための努力が、種々の立場から都市計画に携わる計画者に一層求められている。




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