2001/1 No.15 日本都市計画学会 関西支部だより

特集
「2019年法」に向かっている

土井 幸平  大阪市立大学


 我が国の都市計画に、50年周期説あるいは50年波動説がある。社会の変化、変動に対応して、50年ごとに都市計画システムが刷新され発展してきたという考え方である。この説によると、次の節目は2019年である。

 都市は、生成、成長、成熟、衰退、再生のサイクルを織り成しつつ、その活動はその時々に光と影を生み、ある方向に不可逆的に向かっている。都市計画は都市の光を促進し影を抑制して生き生きとした活動のための器を整える役割を果たしている。しかし、都市の影の諸問題が極大になった時、社会は都市計画システムの構築、再構築を求めた。

 近代の第1 次都市計画システムは、1919年に都市計画法(旧)として構築された。この時点での最大の都市問題は、過密に伴う非衛生・不良居住・公害などであり、その克服のため都市施設の近代化をキーコンセプトとして1919年法は構築された。第2次都市計画システムは、経済の高度成長期のもたらした都市の広域化・スプロール問題が極大に達しつつあった時、これに対処するため現都市計画法に再構築され1969 年に施行された。

 もちろん法律が都市計画のすべてではないが、新たな問題の先行に対して求められるパラダイムの転換を社会の基本ルールとして構築するのが立法である。1919年法、1969年法の経過についてもう少し詳細に検討すると、立法までの準備期間と立法後の定着期間のサイクルがある。都市問題の先行拡大に対応する新たな都市計画システムの準備に約25年、新しいシステムの社会への定着に約25年という、それぞれ一世代の時間のかかるサイクルである。土地利用計画をキーワードとし都市を総合的に計画することをめざしている現都市計画法は、既に25年を経過しまだまだ課題を残しながらも、社会に浸透した線引き制度を基礎に、都市マスタープラン・地区計画・市町村都市計画の充実などの方向で、このシステムが一定の成果を挙げつつある。

 しかしながらその一方で、都市は現システムでは対応できない情報化・少子高齢化・地球環境問題などの新たな問題を抱えはじめ、10〜15年後には極大に達することが確実に見込まれる。これらの問題に対して既に多くの取り組みが始まっている。我々はこれらの取り組みの成果を束ねつつ、新しいパラダイムを準備し、これに基づいた新しい都市計画システム「2019年法」の構築に向かう必要がある。

 1919年法の「都市施設の近代化」、1969年法の「総合的な土地利用計画」の二つのキーコンセプトが役割を終えたのではなく、これからも都市計画の柱であることは言うまでもないが、これに続く「2019年法」のキーコンセプトはなんだろうか。市民が主体的に関与する「まちづくり」か、持続可能な発展をめざす「環境都市=Sustainable City」か。




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