2001/1 No.15 日本都市計画学会 関西支部だより

特集
社会的意思決定としての都市計画に

中川  大  京都大学


 環境や福祉に対する個人の意識レベルは確実に高まっている。環境を考えて消費し、福祉のためのボランティアに参加するというような行動はこれからも広がっていくだろう。これらの分野においては、個人の意識の方がむしろ行政より進んでいると言える部分も少なくない。

 都市計画に対しては、違法な建築などは論外であるとしても、道路利用の実態などをみても、そのような社会的意識が高まってきているとは考えにくい。しかし、個人の意識の高まりこそ、これからの社会の根底を築くものであり、都市計画の成否もそれにかかっていると思う。

 立派な都市計画や交通計画を策定しても実施段階において大きな問題を抱えてきたことには、自分たちのまちの計画を自分たちで作り上げているという感覚を持てないことが一因となっているのではないかと考えられるが、この点を大きく変貌させることができるような成熟した社会が到来することに期待したい。都市計画は、「公」の理念に立脚しているとしても、個人が形成する社会の総意こそが「公」であることをあらためて認識するときであろう。

 意思決定者の一人として計画策定にかかわることによってはじめて、将来にわたる資産としての都市の存在を理解することができるようになるのではないだろうか。そのためには、意思決定に必要な情報を広く市民に提供することなど、学会の役割も不可欠である。

 交通計画づくりなどにおいて地元の人たちと直接話をしていると、市民の意識が変わりつつあることを実感できる。良い都市を作りたいと考え、そのために実際に行動する人が増えてくれば、公共空間の計画にとどまらない真の都市計画が実現できるだろう。新しい世紀のスタートにふさわしい計画手法を作り出そう。




前ページ


15号・表紙


次ページ

Copyright(C)2001 (社)日本都市計画学会関西支部