企画・事業委員会では、この2年間「個」をテーマに活動を行ってきたが、本年度は2000年国際都市計画シンポジウム時に、国際シンポ組織委員会と共催で、7月18日、神戸国際会議場で「高密居住のアジア都市の未来と21世紀のまちづくり」をテーマに公開シンポジウムを開催した。
森康男組織委員会委員長、松下綽宏神戸市都市計画局長の開会の挨拶の後、増田昇関西支部企画・事業委員長がシンポジウムの趣旨を説明した。
趣旨説明の後、康炳基韓国亀尾1大学学長から「韓国の2000年都市計画法を通じてみたパラダイムシフト」、陳亮全国立台湾大学副教授から「921集集大地震から見た台湾の住民参加型まちづくり」、竹元忠嗣兵庫県県土整備部長から「震災復興と今後のまちづくり」と題する基調報告がなされた。
3名の基調報告の後、安田丑作神戸大学教授のコーディネートの下で、梁
在韓国ソウル大学教授、林建元国立台湾大学教授、小浦久子大阪大学大学院助教授、紺谷幸蔵都市基盤整備公団関西支社震災復興事業本部市街地整備第1部長の4名のパネリストによるパネルディスカッションがなされた。
ディスカッションでは、都市化社会(成長型社会)から都市型社会(成熟型社会)への移行の中で今後の都市計画やまちづくりのあり方、特に、高密居住という共通性を持った東アジアの都市の中でどう考えるのか、枠にとらわれず自由な提案や論議が活発になされた。
ディスカッションの途中では、会場から康炳基、陳亮全、黒川洸日本都市計画学会会長などから東アジアの都市で共通して取り組むべき課題や成熟型社会での計画者の役割などに関する積極的な論議への参加が見られた。
最後に、安田丑作から高密イコール過大や過密ではないという前提に立ったアジア都市の将来を考える中で、都市の衰退か成長かという二律背反的な思考から多様な価値の容認と柔軟性、双発的まちづくり、都市レベルと地域・地区レベルの自律と連携、建設行為からマネージメントへの移行、これらを支えるマンパワーの育成など、21世紀のまちづくりに向けたシステムのあり方やそのための提言がまとめられた。