2002/1 No.16 日本都市計画学会 関西支部だより

特集
公園管理からまちづくりへ−栄公園管理会−

田中  康  神戸市東灘区深江本町2丁目栄公園管理会


公園管理会の成り立ち
 公園管理会とは、街区公園など身近な公園を中心に、日常の清掃や水撒き等の軽微な管理作業や、花壇作りなどの公園愛護活動を行うことを目的に設置された団体で、多くは公園管理者(地方自治体)から活動助成金などの助成を受けて活動しており、公園愛護会などとも呼ばれている。その歴史は古く、昭和37年に建設省都市局から出された「都市公園の管理の強化についての通達」に、公園利用の適正化を図るため公園愛護団体等の結成を促す旨の内容を見ることができる。このように、もともとは行政による公園管理の下請け的な色合いが強く、旧来からの町内会や自治会が兼ねている場合が通常であった。
 栄公園公園管理会は神戸市東灘区深江に位置する約3500uの栄公園(街区公園)の管理を目的に設置されたものであるが、現在の体制(会長:岡野恒義)が組織されたのは平成8年4月の阪神・淡路大震災から一年後のことであった。

復興まちづくりと公園管理会
 栄公園は、阪神・淡路大震災で倒壊した阪神高速道路のすぐ北側に位置しており、震災直後は近隣の避難者であふれていた。ボランティアによる炊き出しや支援物資の配布もこの公園で続けられ、いつしか被災住民のコミュニティの拠点となっていった。
 地震から一年を過ぎ、復旧作業の慌しさもようやく一段落ついた平成8年の春、現会長の岡野氏や自治会長の平岡氏を中心として、震災後に近隣住民の助け合いや励ましあいの場となった栄公園を、将来も住民活動の拠点として積極的に利用していこうという機運が高まり、現在の組織(会員約400人)が構成された。そしてその年の夏、倒壊した建物が撤去された公園周辺の空地に雑草が生い茂るなか、一度は途絶えた「盆踊り」が自治会と公園管理会の手によって復活した。
 正確なデータは存在しないが、震災前と後では公園管理に対する住民の関わり方はかなり違っており、近頃は中高年男性の参加も多くなり非常に積極的になってきたと岡野会長は話している。

メンテナンスからマネジメントへ
 現在、栄公園管理会では神戸市より年間16万円の活動助成金を受け、常時40人程度のメンバーが月2回の清掃や夏期の水撒きなどのメンテナンス活動を行っている。
 当会が従来の管理会と異なるのは、行政からの委託作業的な範囲にとどまらず、自治会やまちづくり協議会、子供会等と連携し、花と緑のフェアや野遊び講習会、リサイクルバザールなどの様々なイベントを定期的に開催するなど、公園利用の促進やコミュニティを活性化させるためのマネジメント能力を有する組織として成長してきていることである。
 特に、昨年8月には神戸市21世紀復興記念事業の花・緑の地域づくり部門に、栄公園を会場にした「深江・花の盆踊り」と題したイベント企画を応募し採用された。
 それは、地域住民と神戸市の花・緑ボランティアのメンバーが共同で盆踊りのやぐらを花や緑でドレスアップしたり、花・緑にまつわるパフォーマンスや花の絵コンクール、模擬店、ひまわりの種撒きなどを繰り広げ、花をテーマに新しい盆踊りを創作することにより、地域の活性化と市民レベルの交流を広げようとするものであった。当日は夜遅くまで多くの人出で賑わった。

まちづくりにおける役割〜サロンとしての公園〜
 このようなイベント企画や当日の運営には、公園管理会だけではなく子供会、婦人会、PTAをはじめ地域の様々な団体が協力し合うことによりはじめて成功裡に導くことができる。つまり当日のイベントそのものよりも、それまでの企画立案から役割分担、準備作業を通じて多様な地域住民がミーティングを繰り返すといったプロセスが重要である。このイベント企画のために公園内の自治会館に自治会やPTA、子供会などの様々な住民が自由に集まり議論を重ね、共通の目標を実現していくための時間を過ごすことができた。
 このような活動を行うことができた背景には、当地区に様々なイベントに利用できる公園という空間(オープンスペース)があったこと、またその中にミーティングや準備作業が行える自治会館が存在したことがあげられる。この屋内と屋外の空間セットになった地域施設は、「地域サロン」として利用され、サロン運営にもっとも重要な役割であるコーディネーターとして公園管理会が作用した。
 公園はもともと子供から高齢者まで多様な住民が自由に利用できる空間である。しかしながら、適切な管理が行われないと非行や犯罪の場として疎まれるケースも少なくない。当管理会の事例は、地域の財産としてうまく公園を利活用すれば、コミュニティの活性化に大きく寄与できる可能性を示している。
 この「公園マネジメント」を通じて培われるノウハウと多様な住民の連携が、公園管理の枠を越え、地域全体のマネジメントである「まちづくり」を推進していく上で大きな役割を果たしていくことが期待される。



前ページ


15号・表紙


次ページ

Copyright(C)2002 (社)日本都市計画学会関西支部