2002/1 No.16 日本都市計画学会 関西支部だより

特集
「市民」と「まち研(まちづくりNPO)」と「行政」

新田 俊明  八尾市


「まち研」と八尾市
 八尾市は、大阪市に隣接し生活利便性の高い一方、東部の高安山の緑豊かな自然環境、寺内町や高安古墳群をはじめとする数多くの歴史的遺産や河内音頭に代表される伝統文化など、居住魅力を高めていくための豊富な資源に恵まれています。特に河内音頭は、毎年夏になると各地で櫓が建ち、毎日のように踊りの輪が繰り広げられています。また各地域の神社では、ふとん太鼓やだんじりがこれもまた、全市的に練り歩き「河内のまち八尾」の夏は大変暑い、いや、熱いまちに変身します。そんな八尾のまちを「住んでええとこ」にして行きたいと、地域住宅計画を平成5年3月に策定しました。その計画の推進に当たり、市民・専門家・行政のパートナーシップ型の「住まいからのまちづくり」を目指し、市民でもある建築関係の専門家の集団「八尾すまいまちづくり研究会(まち研)」を設立し、市民と行政の協働による活動が始まりました。
 それから8年間、地道ではありますが確かな協働のまちづくり活動の足跡を残してきました。そして、NPO法人格を取得し、さらに、平成12年度の住宅月間住宅局長表彰を受賞しましたが、これは、この間の活動が高く評価された証であると思っています。

住マスと「まち研」
 現在は、平成13年3月に策定した八尾市住宅マスタープランの4つの重点施策の中の基礎と位置付けられた「住情報・住教育の推進」を、今までに増して、活発に啓発活動を展開していますが、「まち研」の意義の大きな1つは、一般の市民の方と地元で活躍されている企業とのかかわりを探りながら活動していることだと考えています。地場産業である住まい関係の企業の活躍と市民と行政の連携が「住んでええとこ八尾」づくりには、不可欠であると考えています。
 それでは、具体的な「まち研」の活動を紹介しますと、まず、住まいに関する相談「すまいづくり相談室」・「無料電話住宅よろず相談」などの市民の住まいに関する悩みに直接答える、地道ではあるけれど地元の専門家としての役割を着実に果たしています。そして、毎年10月に実施している住宅月間行事では、テーマ毎に開催する講演会、市民の方々と一緒に考えていくワークショップ型の講座、また、「絵地図コンクール」と言う、子どもたちやファミリーに「八尾のまち発見伝」としてまちを歩いて、自分だけの感じているものの地図や、みんなに教えてあげたい道や場所と言った地図などをいろんなアイデアでマップにしてもらい、コンテストをしました。また、「八尾らしいすまいづくり−伝統的民家に学ぶ住まいづくり」展と題して、八尾のまちに現在も残っている伝統的民家の魅力や知恵、デザインに学び現在の住まいづくりに活かす為の情報発信の展示会などのイベントの開催などがあります。それはそれは、いろんなアイデアと、専門性を発揮して、市民と地元の企業と行政をつなぎ、市民には住まい・まちづくりに関する意識や知識の向上に貢献し、行政には、公正で良質な住情報の提供と言う行政の使命をサポートしながら、三者の良好な連携関係を創出しています。

「主役」と「脇役」
 「住んでええとこ八尾」を住まいからつくり上げて行く為には、やはり主役は市民であり、その市民が自らの思いで、自ら行動して行くことが重要です。
 そして「まち研」が、行政と市民をつなぎ市民をサポートする脇役として活動し、完全な脇役である行政と一緒に役割分担していくことで、完成するものだと考えています。もっと言えば「住んでええとこ八尾」づくりは、「八尾のひと・住まい・まち」を育てて行く事が最も重要であり、最終的には「ひと」づくりになると思っています。とりわけ、子どもたちは、未来の八尾のまちを担うすばらしい宝です、その子どもたちに自分たちの住まいやまちを感じてもらいたい、そして、ちょっと考えてもらえるような、そんな情報発信や場づくりが必要で、これからの住まい・まちづくりは、子どもたちが本当の主役であるとも思っています。
 大人たちは、子どもたちに「残してやりたい八尾」を守ることが必要です。そして、「変えて欲しい八尾」を子どもたちに託すため、その感性を研くような住まいづくりの教育を脇役として教えることが使命だと考えています。いろいろと書いてまいりましたが、本当は「まち研」が主役だと言うことかもしれません。今「まち研」は、市民の活動団体と協働で、地域の居住福祉のソフトづくりに取組んでいます。また、各地域のコミュニティセンターへ自ら出向いて、講座などの活動を行っています。これらの市民を巻き込んだ活動が、「ひとづくり」となり「地域づくり」となり、「住んでええとこ八尾」づくりにつながって行くと確信しています。
 がんばれ「まち研」!!



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