2002/1 No.16 日本都市計画学会 関西支部だより

特集
住民と商業者のまちづくり「灘中央地区」

上山  卓  コー・プラン


 神戸の「灘中央地区」で住民と商業者が身近な問題解決から共通テーマを見つけようとする取り組みを通じて、新たなまちづくりの展開の一端を探る。

@「なかよしランド」の整備−手づくり−
 「なかよしランド」は、被災地に残る震災空地の活用を目的とした“まちづくりスポット創生事業”の適用第1号の広場である(面積約550u)。
 市の担当者から当事業の紹介を受けたまちづくり協議会は、さっそく候補地探しに取りかかった。空地所有者の情報収集に走り、候補地を絞り込むとともに、周辺住民に対して理解と協力依頼に1軒ずつ回り、何とか承諾を得たことで、事業実施に拍車がかかった。そして、整備内容や利用方法についてのワークショップを開き、名称を「なかよしランド」に決定、1998年9月末に当ランドは完成した。
 なかよしランドは面積が広く、限られた整備費で魅力ある"まち"のスポットにする工夫の一つとして木柵と花壇を設けており、それをみんなで汗を流してつくったこと(写真左下)が、鍵の開閉や花植え、散水などの良好な管理につながっている。また、協議会が中心になり、候補地探しから計画・整備、そして管理までを行うことは、自分たちの力で"まち"をつくるという意味で評価される。

“まちづくり”のスポットへ
 当事業は、3年間(市からの助成期間)の限定借上げとなっており、当ランドはその期限を過ぎているが、土地所有者の理解と協力により、現在も協議会が無償で借りている。ただ、イベント等での利用はあるものの、ふだんの利用があまり芳しくなく、真の"まちづくり"スポットにするために、協議会ではもう一工夫を模索している。

A「エコタウン」の取り組み−つながりづくり−
 震災直後からの問題の一つに、被災地共通の問題であった空缶・ゴミの不法投棄があり、協議会では「ゴミステーション」の移設や「クリーン作戦」を実施していた。このような中、まちづくりの新たな切り口として、99年に市環境局が「エコタウン」の取り組みを発表、これまでの活動が評価され、そのモデルに灘中央地区が選ばれた。
 協議会では、住民と商業者が一緒になって何ができるのかを検討するとともに、2000年の総会でその想いを表明する『灘中央エコタウン宣言』を行い、さまざまな取り組みが始まった。
 まず取り組んだのが「マイバッグ運動(買物袋持参・簡易包装)」であり、この運動は、商業者としても他地区との差別化を図る意味をもっていた。
 また、エコアンケートの結果を受け、古紙・空缶の集団回収の拡大浸透や「エコBOX」での空缶回収を始めるとともに、01年7月と10月には「エコタウンまちづくりマーケット」を開催(写真右下)、生活用品のリユースや容器を使わない菓子販売などの試みも始まっており、行く行くは、リサイクル商品の開発・販売やエコクッキングの実演などにつなげていきたいと考えている。

まちづくりは“人づくり”
 「エコタウン」はまだ始まったばかりであるが、これらの取り組みが何らかの形でつながりをもち、また、ケナフの栽培などの従来からの活動もエコタウンの名のもと徐々に地域に浸透しており、まちづくりの一つの起爆剤になっている。
 このような具体的な成果をうけ、協議会では住民と商業者という地域のリソースを生かして、"人づくり"を基本にした新しい取り組みを始めており、これは今後の灘中央地区の継続的なまちづくりにおいて極めて重要なテーマの一つと思われる。

  



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