2002/1 No.16 日本都市計画学会 関西支部だより

特集
須磨「智慧の道」のまちづくり

岩崎 俊延  (有)プラン まち さと


はじめに
 須磨「智慧の道」は須磨寺と国道2号沿いの綱敷天満宮を結ぶ1km弱の道である。
 都市計画道路千森線の整備に合わせて、須磨寺前商店街との交差点を中心に、「お大師広場」「須磨霊泉」「山門風アーチ」が神戸市によって整備された。さらに、ソフト面の取り組みとして「お大師さん天神さん道ぶらりマップ」がつくられた。これらの行政主導の取り組みから、住民主体のまちづくりへの転換・発展をめざして、平成12年4月28日第1回の「須磨のまちを"ざっくばらんに語る会"」を開催した。以後、毎月1回の会合をもって、まちづくりを進めている。

行事・催事を軸にしたまちづくり
 須磨寺周辺は歴史豊かなまちである。まちの魅力資源や催事などをみんなで思い出して「魅力マップ」「歳時記」にまとめながら、みんなで「まちを見直し」「まちを識る」ことから話し合いをはじめた。そして、まちの資源を活かし、まちの個性を育てるまちづくりを目指して行こうということになった。
 「歳時記」づくりを通して、お大師さんや天神さんの行事はあるが、まちの行事・催事の無くなっていることがわかった。まちのみんなが参加してまちづくりを進めていく方法として、まちの資源や整備された施設などを活用し、手づくりの行事・催事を行っていくことになった。

取り組みの紹介
 @「光の回廊 智慧の道」
 行事・催事を活かしたまちづくりの取り組みの第1号が須磨寺の「灯明会」との連携だった。8月9日「灯明会」の夜に山陽電車須磨寺駅から須磨寺までの商店街・参道にろうそくを並べてみようということになり、須磨寺の協力を得て行った。まちのみんなが"新しい風景"に感激し、新しい取り組みが"みんなの手でできる"という小さな自信を生んだ。この体験が、その年の大晦日の夜、天神さん、お大師さんへの初詣の人達をろうそくで「光の回廊」をつくって迎える行事に発展した。このとき、天神さんもお大師さんも学問・智慧に深く関わることから、"お大師さん天神さん道"を「智慧の道」と名付けた。翌平成13年も、灯明会と年越しの「光の回廊」が実施された。夜間の行事であることなどの負担の軽減方策など課題もあるが、定着へのみんなの期待も大きい。













灯明が幻想的な雰囲気をつくり出す。
新聞広告の効果もあり人手が多くなった。
 A「須磨寺楽市」
 第2弾の催事として、以前からまちで話にあがっていたフリーマーケットを、須磨寺らしい形で、まちのみんなが参加できる形で開催することになった。話し合いのなかで、できるだけ地域の住民に出店してもらうようにすることや、名称を「須磨寺楽市」とすることになった。みんなの予想をはるかに超える盛況で、まちからの出店参加者もみんなでつくる行事の喜びを実感した。その後、翌年4月に「春の楽市」10月に「秋の楽市」を開催し、まちの行事として定着できそうである。須磨寺商店街の通りが主会場であるが、会場の拡大も考えられている。













真赤に「須磨寺楽市」が白抜きされた大旗も雰囲気を
盛り上げて好評
 B「茶店お大師広場」
 第1回須磨寺楽市に神戸市職員有志が「ボランティアショップ」を出店し、その売り上げが“ざっくばらんに語る会”に寄付された。これを基金にして「茶店お大師広場」で来街者にお茶などの「お接待」をすることになり、婦人会の人達も参加して行事の時に開店している。
 C七夕飾り
 “昔は商店街で七夕に笹飾りをあげてにぎわっていた”という話が出、これを再興しようということになった。子供達にも参加を呼びかけ開催した。いろいろ工夫した笹飾りの“競争”になり、まちのみんなが参加して七夕までの数日間盛り上がった。「来年は」の声があがり、「七夕飾り」の再興・定着が期待できそうである。
 Dまち並みづくり
 こうした行事・催事を軸にした「まちづくり」を進めるなかで、少しずつまち並みへの関心も育ち始めている。
 “ざっくばらんに語る会”で毎回少しずつ、勉強と話し合いを続けており、「まち並みルール」づくりなど具体の取り組みを進めていく予定である。

今後の課題など
 「智慧の道」は須磨寺と千森線との交差点の間、須磨寺商店街と、山陽電車以南の3つの区間で沿道の土地利用、道の形状、沿道の住民意識など道の性格が大きく変わる。こうした“違い”を活かしながら、まちのみんなが一緒に取り組めるまちづくりを考えていく必要がある。
 また、現在、用地買収が進められている中央幹線の整備にともなって、今後「智慧の道」の“分断”への具体的対応が課題になる。鉄道と道路をともに活かして、住民の暮らしの利便と観光・来街者の利便も高めながら、魅力的なまち並みを育てるまちづくりを、これまでの協働の取り組みを基礎にして進めていく必要がある。



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