2002/1 No.16 日本都市計画学会 関西支部だより

特集
「明日の貝塚のまちづくりを考える会」の活動

前田 浩一  明日の貝塚のまちづくりを考える会


 「明日の貝塚のまちづくりを考える会」、通称「貝塚まちづくり本舗」は、関空開港を控えた1988年、地域の特性を生かした市民自らのまちづくりをめざす有志、商店主・建築家・僧侶・会社員・市職員等50名あまりのメンバーによって結成され、活動を始めました。貝塚において地域の特性を生かすと言うことは、すなわち、町の歴史を大切にすることを意味します。貝塚は戦国時代、一向衆によって建設された自治都市「寺内町」を起源とする町です。江戸時代になっても明治維新を迎えても、町の人々の思い、町民が一丸となってまちづくりをすすめるという思いがこの町の伝統ではないかと考えています。こうした思いは今も、寺院や町並みといった目に見えるものばかりではなく、生活習慣や風習などの形のないものにも現れているように思います。

 「貝塚まちづくり本舗」では、有形無形の町の歴史をまちづくりに生かそうと、プロの講談師を呼んで町の歴史にちなんだ口演会を開催、子供達をつれて旧家の見学や町の探検、さらによその町の訪問などを行ってきました。そのほか、旧家を訪問してその家にまつわる話を聞きながら建物の記録を残す「町の履歴書づくり」、研究者等を呼んで研修会等も行ってきました。活動会場は、町の中心である願泉寺の住職で本会会長であるト半さんのご厚意で本堂などを使わせていただいています。

 「貝塚まちづくり本舗」名物の地蔵盆は、たまたま会員が旧盆に町の地蔵さんを訪れたことがきっかけで始められました。数少なくなった子供達を、地蔵さんを囲んで気長に待ち続けるお年寄りの姿を見てのことです。8月23日の夜、親子参加で寺内町にある16カ所の地蔵さんを順番に巡ります。各地蔵さんでは、子供達は待っていたお年寄りからたくさんのお菓子をもらいます。一方で、通沿いの各家では、配られた紙製の灯籠に絵を描いたものが軒先に灯され、町は地蔵盆一色となるわけです。伝統文化と異世代交流、歴史の町の新たな風物詩と自負しています。

 そこに住む人々の心を大切にするまちづくりこそ、私たちが今求められているのではないでしょうか。「貝塚まちづくり本舗」の活動は細々と続きます。




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