2002/1 No.16 日本都市計画学会 関西支部だより

特集
住民主体のまちづくり〜豊中市おかまち地区

橋 多美男  豊中市


みんなの計画、役所の支援
 大阪の郊外住宅都市として歩んできた豊中市は、「みんなの計画、役所の支援」を基本姿勢に、市民が主体的に取り組み、行政や事業者などとのパートナーシップに基づくまちづくりを展開している。そのまちづくりを支える法制度として、平成4年に「まちづくり条例」を制定(同5年に施行)した。
 市民が地域にこだわり継続して活動する組織づくりに始まり、まちの将来像である「まちづくり構想」の作成とその合意形成の段階、そして地域や役所に提案し、その実現への手法や制度の検討を行いルール化や事業化につなげていく段階という、二段階によるコミュニティプランニング手法で、総合的な地域まちづくりのプラン作成とその実現を想定している。

おかまち地区のまちづくり活動
 豊中駅前地区のまちづくりに続く「おかまち地区」は、阪急宝塚線岡町駅東側にあり、市の中心地として発展し、商業地の背後に住宅地が控える古くからの市街地である。奈良時代以前からの歴史のある原田神社の門前町として栄え、江戸時代の旧街道であり沿道に往時を偲ぶ建物が点在する「能勢街道」を軸に、古くから人々が交流してきた、歴史・文化性と地域資源の豊かな地域である。また、市内でも早くから住民の高齢化が見られる地区でもある。
 この地区の若手商業者が高架化事業やまちの特性からくるまちの変化に危機感を強くして始めた勉強会を発端に、市民主体によるまちづくり活動がスタートした。その後、地域住民の過半数の賛同を得て「まちづくり協議会」を設立、まちの課題や将来像について論議を重ね、「取り戻せ岡としての誇り〜岡の賑わいを呼び戻す、歴史・文化をつなぐ〜」をコンセプトに「まちづくり構想」をまとめ、市に提案した(平成9年)。市はこれを受けて、同地区のまちづくりの基本方針を同協議会に提示している。

夢をかたちに〜構想具体化・実現化の取り組み〜
 この協議会が核となり、交通、歴史、商業、文化、防災をまちの主要なテーマに取り組んでいる。
 電動スクーターや車いすで商店街通りを試乗し、地区内交通の課題の改善策を検討する「タウンモビリティ実験」、目の不自由な人や高齢者等が安心して歩ける通りをめざす「音声誘導システム実験」を実施。また、まちの歴史を再発見する「能勢街道イベント」、空き店舗を活用したギャラリー「まちづくり展示館」、市や大阪府と協働して、空き店舗を活用した現代美術作品の展示と地域の美術・文化活動の発表・PR空間「おかまち・あーとらんど1号館」の開館など、多様な関係者を巻き込み構想実現化を進めている。
 こうした取り組みを通じ、目に見えるまちづくり活動の実績を積みながら、まちの改善につながる有効な関係づくりに注力している。さらに、これらを踏まえて論議をつくり、構想の具体化・実現化に向けた流れを形成していくのである。

協議会型まちづくりのすすめ
 おかまち地区のまちづくり活動は、構想に基づき、具体的にまちの改善を図っていく段階にある。
 おかまち地区は、まちの歴史の長さゆえの、地縁に基づく人間・団体の伝統的なつながりがある。まちづくり活動に際しては、それらが順風となったり、逆風となったりすることがある。それが、まちの特色でもあり、その伝統を土台にまちづくりを進めている。まちづくり協議会は、常に公開で民主的な論議に基づく「地元としての考えの重み」と、活動によって得られる「具体的な成果」に対する「外部からの評価」を推進力にして、まちづくり活動を継続している。
 おかまち地区は、息の長い、継続した取り組みによって、さらに具体的なハードを含めたまちの改善の機運ができつつある。住民層からは、新たに建物や景観のルールづくりをめざす動きも起こっている。
 ひとりひとりの地域に対する考えやくらしに対する考えが、協議会の仕組みを通して議論されることで、地域の声として合意され、具体化につなげるひとりひとりの行動に結びついていく。まちの変化が目の前に来て対抗する"反対"ではなく、まちの未来を見つめたまちづくり活動が求められていることは論を待たない。おかまち地区は試行錯誤しながら、文字通りの協働の「まちづくり」が進められている。















中華料理店を会場に行われるまちづくり協議会での議論



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