2002/1 No.16 日本都市計画学会 関西支部だより

特集
「上本町コミュニティ・ネットワーク構想」

金井 文宏  鞄s市文化研究所


 大阪市の都心西部を南北に貫く上町台地は、6世紀末、聖徳太子の活躍した頃より、四天王寺、難波の宮、大坂城と連綿と続く大阪の文化・政治の中心地であり、21世紀を迎えた現在も、大阪という都市の歴史・文化を色濃く残している。

 また、近年、近鉄劇場、應典院(ホール、ギャラリーを備える)、大阪国際交流センターなどで多様な文化活動が展開されるとともに、大阪赤十字病院、天王寺区在宅サービスセンター・ボランティアビューローなどでは医療・福祉活動も多数の市民ボランティアの参画のもと、活発に行われている。

 こうした上本町のまちの「資源」を積極的にネットワークし、魅力的な都心居住を提供するという趣旨で、平成11年度、上本町周辺地区整備構想研究会(座長 京都大学大学院工学研究科 高田助教授)が、「上本町コミュニティ・ネットワーク構想」をまとめた(本整備構想の拠点地区は大阪赤十字病院の敷地の西側約1.7ha−都市基盤整備公団が取得)。平成13年度からは、この研究会に、演劇を中心としてコミュニティ活動を展開する應典院の秋田住職をはじめ、非営利組織、企業などが参画し、コミュニティ・ネットワークのあり方を探っている。以下にその概要を紹介する。

 上本町コミュニティ・ネットワーク構想の狙い(目的)は、「かつてのお寺の役割は、学び(教育)、癒し(福祉)、楽しみ(芸術・文化)であり、現代のお寺も公と私をつなぐ“コモンズ(共)”の受け皿となり、本物のコミュニケーションによりしっかりした自己を確立する場とする」(應典院秋田住職「市民プロデューサーが拓くNPO世紀」)という発言に象徴されるように、人間同士の多様で深いネットワークを歴史・文化の集積地である上本町エリアに形成することが本構想の目的である。そのため拠点地区に、市民参加・参画による生活文化育成、生活・福祉支援、起業化支援の場となるような機能を誘導していく。このような機能の埋め込みにより、上本町エリアは国際集客都市大阪の最も大阪らしい観光・集客拠点ともなる。




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