「街の復興カルテ」対象地区の復興検証(3地区)

目次

1 目的
2 調査対象地域の選定理由
3 全体のまとめ

1.目的

阪神・淡路大震災により被災空間には大規模な都市計画事業が行われ、その空間変遷を捉えた調査研究がなされていた。「街の復興カルテ」は、財団法人阪神・淡路大震災記念協会が10年間にわたり対象地区の建物再建過程を追った報告書である。震災から25年が経過し、それらの空間の状況を再度追うことは、空間復興を検証する上で重要な取組である。 本報告書は、この「街の復興カルテ」の調査地区を対象とし、現状(2020年度)分析をすることを目的としている。具体的には、「街の復興カルテ」の最終の調査であった2005年度版より得られる状況と、15年を経た2020年現在の状況との変化を見るものである。資料の内容は、a.定点観測写真、b. 「街の復興カルテ(2005年度版総括編)」に記載されているまとめとの比較を行ったものである。
インタビュー調査風景

2.調査対象地域の選定理由

調査対象地域は、写真が存在し、写真で状況を比較できる地域を選定している。できるだけ最新の写真と比較するため「街の復興カルテ(2005年度版総括編)」を元に、①1995年と最終版の2005年近くの写真が存在する地域、②撮影位置が特定できる写真が掲載されている地域を、調査対象地域として選定した。
対象地区 掲載写真 定点写真箇所数 報告書の年度
長田区・須磨区 1995年と2006年 13 2005年度(p176~)
東灘区 1996年と2006年 7 2005年度(p106~)
西宮市 1995年、1999年、2004年 14 2004年度(p176~)

3.全体のまとめ

今回の報告では、「街の復興カルテ(2005年版総括編)」の調査された10年目と現在の25年目の変化を定点観測写真のある地点で確かめた。 「街の復興カルテ(2005年版総括編)」が予測した状況に対して、定点観測写真(2020年)から指摘できる記述してまとめとする。


・長田区・須磨区では、「自然要素(山)が、今尚、震災以前からの街のシンボル」として、残っていた。新長田南再開発の地区では、高層建築物や広場の整備で、町並みが変化していた。

・東灘区(住吉地区)では、「接道不良の空地、 資材置場化した空地、未舗装の細街路など依然として解決されないままとなっている。」だったが、定点観測写真地点では、未舗装の細街路がアスファルト整備されたり、駐車場(兼)資材置場化した空地に住宅が建設されてたりしていた。

・西宮市では、安井地区では、阪神・淡路大震災後地区計画を定めており、千歳町等の交差点から見ると、幹線道路沿いで、建設されたマンションの高さが整っている。

また、津門地区では、「戸建住宅の意匠から日本瓦その他の和風要素が減少し、 シングル葺、 金属板や既成のボード類、タイルなどの現代的素材が外観をつくりはじめている。」と2005年版報告にあったが、定点観測写真を撮影した住宅でも、生け垣が、フェンス(下部、ブロック)に変更され、外観の緑が減少している様子が見られた。